国民年金は老後やいざというときの生活を
現役世代で支えていく公的年金制度です。
少子高齢化など色々な問題はありますが、
将来、給付額が多少減ったとしても、
多くの人にとって老後の生活を最低限保障する
貴重な収入源になることは間違いありません。
もし、何らかの理由で国民年金が払えなくなり、
納付義務が果たせなくなったらどうなるのでしょうか?
年金未納によって年金が受給できなくなれば、
「老後貧困」に直結してしまいますし、
健康などに問題をかかえていれば、
さらに悲惨なことになってしまいます。
この記事を読んで欲しい人
- 失業して収入がない
- 自営業だけど収入が低くて国民年金を納める余裕がない
- フリーランス(個人事業主)だけど収入がまだ安定しない
- 学生でアルバイトも収入も少なくて納付する余裕がない

国民年金を納付できなくて悩んでいる方!
安心してください!
国の救済措置があります。知ってるのと知らないとでは大きな差です!
この記事を書いた人

大学院博士卒後、大手電機メーカーへ就職。
順風満帆なエリートコースを歩んでいただが、
うつ病発症。
休職期間を経て、退職。
現在、フリーランス社会復帰を目指し、
ハンドメイド品製作に没頭!
そして、いつかは田舎でスローライフ。
Twitter: @akira_fika
国民年金ってそもそも何?
いまさら聞けない・・・国民年金って、どんな制度?
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の人、すべてに加入が義務付けられています。
20歳~60歳の40年間、納付義務を果たせば、満額の「老齢基礎年金」を受け取れます。
また、最低でも10年間の納付期間があれば、その期間に応じた年金が受け取れます。
よくある誤解
現役世代が納めた保険料を現在の国民年金を受給している方への給付に充てられます。
年金の受け取りは原則満65歳からですが
60歳~65歳まで、1か月単位での「繰り上げ受給」
または
満70歳まで1か月単位での「繰り下げ受給」も可能
繰り上げ・繰り下げに関しては、それぞれにメリット、デメリットがあります。
受給者の経済状態や生活スタイルによっても左右されてしまうので、
自分の状況を考慮してベストな選択をする必要があります。
ところで、国民年金の被保険者といっても、学生もいれば、サラリーマン、自営業、農業従事者など、被保険者の職業など様々。
被保険者の区分はどうなっているのでしょうか?
3種類の被保険者区分
国民年金の被保険者は3種類に分けられます。
第一号被保険者
対象
第一号被保険者は国民年金のみを納付する自営業者や学生、無職の人です。
私のような会社に勤めていない個人事業主もここに該当します。
保険料の納付については、個人で行う必要があります。
通常、日本年金機構から送られてくる納付書で支払ったり
あらかじめ登録してある口座から引き落としされます。
第二号被保険者
対象
第二号被保険者は会社員が対象となります。
保険料の納付については勤務先が厚生年金保険料の納付を代行してくれます。
国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれており
勤務先が保険料の半分を負担してくれます。
支払いについては代行してくれ、また保険料も折半なので楽ではありますね。
第三号被保険者
対象
第三号被保険者は第二号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者です。
たとえば、専業主婦などがこれに当たります。
保険料の納付については、第二号被保険者の保険料で一括負担となるため
追加の自己負担はありません。
つまり、第二号被保険者分のみを支払っておけば問題ありません。
参考
私は2020年12月に退職して個人事業主として開業しました。
そのため、第二号被保険者から第一号被保険者になりました。
つまり、自分の国民年金を自分で納める必要があります。
それでは、納付する国民年金保険料はいくらになるのでしょう?
また、どのように保険料は決まるのでしょうか?
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国民年金はいくら納める?収入額によって違いはあるの?
国民年金の保険料は原則として収入に関係なく一律で決まっています。
国民年金の保険料は令和2年度中においては月額16,540円となっています。

参考
平成17年度以降の保険料額は平成29年度まで毎年280円ずつ引き上げることが決まりました。
そして令和元年度以降、保険料が月額100円引き上がります。
しかし、実際の保険料額は物価や賃金の伸びに合わせて調整がされます。
調整額は次のような式で求められます。
ポイント
その年の国民年金保険料額=平成16年度改正で決められた保険額料×保険料改定率
保険料改定率=前年度保険料改定率×名目賃金変動率(物価変動率×実質賃金変動率)
また、国民年金保険料は、納付方法によって割引が受けられます。
まとめて前納する場合は納付額が割引されます。(最大2年分の前納が可能)
また、口座振替を利用した場合も一定額が割引かれます。
そのため、口座振替で前納すると割引率が高くなるのでおすすめです!
さらに、近年クレジットカードでの納付も可能になりました。
クレジットカードの場合は割引はありませんが、
クレジットカード会社のポイントが付きます。
したがって、ポイントを貯めている方にはおすすめな方法です。
ちなみに、前納割引も適用されますよ。
国民年金の保険料については収入に関係なく一律です。
したがって、収入がない学生も年収が800万円の個人事業主も同じ保険料です!
いくら前納割引があっても、収入が低かったり、
失業して収入がない場合はどうしたらいいのでしょうか?
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国民年金が支払えない!!そんなとき、どうする?
第二号被保険者(会社員)の場合、厚生年金が給与から天引きされます。
そのため、その会社で働いている限り、年金が納付できなくなることはありません。
しかし、自分で納付しなければならない第一号被保険者の場合、
経済的な理由から、国民年金保険料を納付できないケースがあります。
自営業者であれば、コロナの影響で売り上げが大幅に下がったところも多いです。
また、学生であれば安定した大きな収入はありません。
自営業者、個人事業主や学生が毎月の保険料を工面することが難しい場合も多いです。
そのまま払えないということで「未納」状態になれば、
将来、年金が貰えなくなったり、減額されてしまったりすることがあります。
しかし!
国の救済策として、「免除制度」と「納付猶予制度」があります。
申請は各自治体の国民年金担当窓口に
「ねんきんネット」などでダウンロードした申請書を提出します。
免除制度
20歳以上60歳未満であれば、所得に応じて4段階で免除の措置があります。
全額免除
3/4免除
半額免除
1/4免除
この制度を利用した期間は受給資格期間にカウントされます。
さらにその免除割合に応じた年金額を国が負担してくれます。
国が負担する年金額
免除の割合 | 国が負担する年金額 |
全額免除 | 全額納付した場合の1/2 |
3/4免除 | 全額納付した場合の5/8 |
半額免除 | 全額納付した場合の6/8 |
1/4免除 | 全額納付した場合の7/8 |
(※2021年2月現在)
つまり、もし20歳~60歳までの40年間、
国民年金を納付できず、全額免除だった場合でも
本人がまったく保険料を納付していなくても、
満額支給の1/2(半分)を受け取れるというわけです。
注意
免除には本人だけではなく、世帯主や配偶者の所得審査が行われます。そのため、本人の所得が、基準を満たしても承認されないことがあります。
納付猶予
納付猶予の場合は20歳以上50歳未満の人が申請できます。
この制度を利用した期間も受給資格期間にカウントされます。
しかし、免除と違い、保険料を納付していない期間は将来の年金額に反映されません。
適用期間中は納付金額が0としてカウントされます。
納付猶予は主に学生や比較的若い人を想定しており
「今は払えないが、将来的に追納できる」ということを前提にした制度です。
所得審査は本人と配偶者のみで、免除に比べるとゆるい審査となっています。
免除・納付猶予ともに、10年以内であれば保険料を追納することが可能です。
そのため、学校を卒業して社会人になり少し余裕が出てきたら
学生時代に免除をされていた分を追納することも可能です。
また、失業で今は収入ないけど、再就職して安定した収入を確保できたら
追納することも可能です。
追納した場合は過去の分も支払ったことになるため
将来の年金も満額支給となります。
まとめ
免除や納付猶予を利用した期間は納付期間にカウントされ、
国民年金に加入しているとみなされます。
一方、払えないからといって、そのまま無視をしつづけて
「未納」にしてしまった場合、その期間は納付期間にカウントされません。
「未納」になった場合、将来、国の保障を受けられなくなる恐れがあります。
コロナの影響だけでなく、様々な事情で保険料を払えないこともあります。
それは決して、ダメなことではなく、しっかりと国の救済措置があります。
したがって、必ず救済措置を利用して、「未納」をつくらないようにしましょう。
4つのポイント
- 日本に住む20歳~60歳の人全員に加入義務
- 被保険者は職業、属性によって3種類に分けられる
- 保険料は所得に関係なく一律である
- 国民年金を払えないときは「免除」「納付猶予」の救済措置がある